公正証書遺言とは?作り方の流れ・必要書類と費用の目安

公正証書遺言の作り方と必要書類、費用の目安を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトはgooddo(gooddo株式会社)・遺贈寄付ガイドの公式サイトの公開情報と、国税庁・法務省・裁判所・内閣府など公的機関の情報をもとに編集部が独自に執筆しています。制度や掲載内容は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトで確認してください。税金や遺言の個別の判断は、税理士・弁護士・司法書士・税務署・公証役場などにご相談ください。記事内には広告を含みます。

遺言書を作ろうと調べると、「公正証書遺言」という言葉がよく出てきますよね。名前が硬くて、何だか大がかりな手続きに見える方も多いはずです。

結論から言うと、公正証書遺言は、公証役場の公証人に頼んで作ってもらう遺言書です。費用はかかりますが、形式の不備で無効になる心配が小さく、原本も公証役場で預かってもらえます。

この記事では、公正証書遺言の作り方の流れ、そろえる書類、手数料の目安、寄付のことを書く時の注意点が分かります。

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目次

公正証書遺言とは?ほかの遺言とどう違う?

公正証書遺言は、証人2人以上の立ち会いのもとで、公証人が作る遺言書です(民法969条)。遺言者が内容を公証人に伝え、公証人がそれを文章にまとめます。

公証人は、法務大臣から任命された実質的な公務員です。日本公証人連合会によると、裁判官や検察官、弁護士などの経験がある法律の専門家が務めています。

先に結論

公正証書遺言は「公証人が作り、原本を公証役場で預かる」遺言書です。家庭裁判所の検認が要らないので、亡くなった後の手続きに早く移れます。

遺言の方式は3つある

民法967条では、ふだん使う遺言の方式として、自筆証書・公正証書・秘密証書の3つが定められています。どれも法律で方式が厳しく決められていて、方式に合わない遺言は無効です。

日本公証人連合会の説明では、生前に口で言っていたことや、録音・録画した言葉は、遺言としての効力がありません。『家族には話してあるから大丈夫』と思っていても、形にしておかないと伝わらないんです。

比べる点公正証書遺言自筆証書遺言秘密証書遺言
誰が書く公証人が文章にする本人が全文・日付・氏名を手書き本人が作る(パソコンでも可)
証人2人の立ち会いが要る要らない2人の立ち会いが要る
保管原本は公証役場自宅など、または法務局本人が保管
家庭裁判所の検認要らない要る(法務局で保管した場合は不要)要る
費用公証人手数料がかかる自分で書けば不要(法務局の保管は手数料あり)定額1万3,000円の手数料

表の内容は、民法と日本公証人連合会の記載(2026年10月時点)をもとにしています。

公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の違いを、書く人・証人・保管・検認で比べた図解

公正証書遺言のよいところと、手間がかかるところ

『費用をかけてまで公正証書にする意味ってあるの?』と迷う方もいますよね。ここでは、日本公証人連合会の説明をもとに、よいところと手間のかかるところを並べてみます。

よいところ
  • 法律の専門家が作るので、方式の不備で無効になる心配が小さい
  • 原本が公証役場に保管され、紛失や書き換えの心配が少ない
  • 家庭裁判所の検認が要らない
  • 手書きが難しくなっても作れる
  • 公証役場に行けない時は、公証人に出張してもらえる
手間がかかるところ
  • 公証人手数料がかかる
  • 証人を2人そろえる必要がある
  • 公証人との打ち合わせや日程の調整がある
  • 書類を集める時間がかかる
  • 内容を変える時も、新しい遺言を作り直す

亡くなった後に「探してもらえる」仕組みがある

実は、公正証書遺言には探してもらうための仕組みもあります。平成元年以降に作られた公正証書遺言は、亡くなった後、相続人などが全国の公証役場で「遺言があるかどうか」を問い合わせられます。

この検索の申し出は無料です。ただし、生きている間に申し出られるのは遺言者本人だけと案内されています。

内容が外に漏れないか心配な方へ

『寄付のことは、まだ家族に話していない』という方もいますよね。公証人には法律上の守秘義務があり、公証人を補助する書記も秘密を漏らさないと宣誓して採用されていると、日本公証人連合会は説明しています。

立ち会う証人も、遺言の内容を他に漏らさない義務を負うと考えられています。公証役場が紹介した証人も同じです。

どのくらいの期間、保管してもらえる?

日本公証人連合会によると、遺言公正証書は、遺言者の死亡後50年、作成後140年、または遺言者の生後170年のあいだ保存する取り扱いです。平成26年以降の原本は電子データでも二重に保存され、災害に備えた仕組みも整えられています。

作成した日には、正本と謄本にあたるものを受け取るのが通常です。手元の控えを見れば、いつでも内容を確かめられます。

自筆証書遺言のほうが向いていることもある

一方で、自筆証書遺言は自分で書けば費用がかからず、思い立った時に作れます。内容がシンプルで、法務局の保管制度を使うなら、こちらを選ぶ方もいます。

どちらが正解ということはありません。財産の種類や家族の状況、寄付先の数によって合うほうを選んで大丈夫ですよ。法務局に預ける方法は自筆証書遺言書保管制度とは?法務局に預ける手順でまとめています。

公正証書遺言の作り方の流れ

『公証役場って、いきなり行っていいの?』と思う方も多いはずです。日本公証人連合会によると、士業や銀行を通さずに、本人や家族が直接、公証役場に電話やメールで相談しても差し支えないとされています。

公正証書遺言ができるまで
  1. 公証役場に連絡して、遺言の相談や作成を頼む
  2. 財産と「誰に何を渡したいか」のメモ、必要な書類を出す
  3. 公証人が作った遺言公正証書の案を見て、直したい所を伝える
  4. 案が固まったら、遺言をする日時を決める
  5. 当日、証人2人の前で内容を伝え、読み聞かせを受けて確認する
  6. 遺言者・証人・公証人が電子サインをして完成
公証役場への相談から、メモと書類の提出、案の確認、当日の手続きまで公正証書遺言ができる流れを示した図解

最初のメモは「財産」と「渡す相手」が分かれば十分

最初に出すメモには、どんな財産があって、それを誰にどんな割合で渡したいかを書きます。メール、ファクス、郵送、持参のどれでも出せると案内されています。

きれいな文章にする必要はありません。公証人が案を作ってくれるので、思いつく範囲で書き出してみてください。

当日はどんなことをする?

遺言の当日は、証人2人の前で、遺言の内容をあらためて公証人に伝えます。公証人は、それが本人の考えであることを確かめたうえで、用意した原本を読み聞かせるか見せてくれます。

内容に間違いがなければ、遺言者と証人2人、公証人が電子サインをして完成です。本人が自分の考えを話しやすいよう、利害関係のある人には席を外してもらう運用になっているそうです。

公証役場に行けない時は出張もある

体力が落ちて公証役場に行くのが難しい時は、公証人が自宅や病院、介護施設などに出張して作ることもできます。条件が合えば、ウェブ会議で公証人と面談する方法もあると日本公証人連合会は案内しています。

必要書類と、事前にそろえておきたいもの

公正証書遺言の作成には、いくつかの書類が要ります。日本公証人連合会が挙げている主な書類は次のとおりです。

公正証書遺言の主な必要書類
  • 遺言者の印鑑登録証明書(3か月以内に発行されたもの)。顔写真付きの身分証明書で代えることもできる
  • 遺言者と相続人の続柄が分かる戸籍謄本や除籍謄本
  • 不動産がある時は、登記事項証明書と固定資産評価証明書(または課税明細書)
  • 預貯金がある時は、通帳かそのコピー
  • 自分で証人を用意する時は、証人の氏名・住所・生年月日のメモ

内容によっては、ほかの資料を求められることもあります。最寄りの公証役場に、何が要るかを先に聞いておくと安心です。

戸籍謄本や登記事項証明書など、役所や法務局で取り寄せる書類もあります。書類集めは意外と日数がかかるので、どこで取れるかも含めて公証役場に聞きながら、余裕をもって始めておきましょう。

寄付先がある時に追加で用意したいもの

団体に財産を渡す遺言の場合は、団体を特定できる情報を用意しておきましょう。正式な法人名と所在地が分かれば、公証人も案を作りやすくなります。

団体の公式サイトや、遺贈寄付の窓口に問い合わせて確かめておくと確実性が増します。団体によって受け入れられる財産が違うので、その点もあわせて聞いておきたいところです。

証人は誰に頼めばいい?

証人2人は、遺言者が自分で頼むこともできます。ただし、次の人は証人になれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人(相続人になる予定の人)
  • 遺贈を受ける人
  • 推定相続人や遺贈を受ける人の配偶者・直系血族など

『家族に頼めないなら、誰に頼めばいいの?』と困りますよね。適当な証人が見当たらない時は、公証役場で紹介してもらうこともできると案内されています。紹介を受ける時の費用は、公証役場に確かめておきましょう。

公正証書遺言の費用の目安

公正証書遺言の手数料は、「公証人手数料令」という政令で決まっています(令和7年政令第263号)。遺言で渡す財産の価額をもとに、渡す相手ごとに計算して合計する仕組みです。

目的の価額(渡す財産の価額)手数料
50万円以下3,000円
50万円を超え100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下13,000円
500万円を超え1,000万円以下20,000円
1,000万円を超え3,000万円以下26,000円
3,000万円を超え5,000万円以下33,000円
5,000万円を超え1億円以下49,000円

日本公証人連合会の記載(2026年10月時点)です。1億円を超える部分は加算方式になります。手数料は改定されることがあるので、最新の金額は日本公証人連合会のサイトか公証役場で確認してください。

手数料の数え方のポイント

相続人や受遺者ごとに、渡す財産の価額で手数料を出し、それを合計します。団体に寄付する分も、受遺者の一人として数えることになります。

手数料に加わるもの

基本の手数料のほかに、次のような加算があります。

  • 1通の遺言の目的の価額の合計が1億円までなら、「遺言加算」として1万3,000円
  • 紙に出力した原本が3枚を超える時は、超える1枚ごとに300円
  • 手元に受け取る正本・謄本に当たるものの手数料(電子データなら各1通2,500円、紙なら1枚300円)
  • 出張の時は、病床での作成で手数料が50%加算されることがあるほか、日当(1日2万円、4時間以内なら1万円)と交通費

日本公証人連合会は、計算の例として「妻に6,000万円、長男に4,000万円を相続させる場合」を載せています。妻の分4万9,000円と長男の分3万3,000円の合計8万2,000円に、遺言加算1万3,000円を足して9万5,000円です。

相談は無料、支払いは現金かカード

公証業務についての相談は無料です。手数料は、原則として証書を受け取る時に、現金かクレジットカードで払うと案内されています。

『まず費用だけ知りたい』という段階でも、遠慮なく公証役場に聞いてみてください。財産の内容を伝えれば、おおよその手数料を教えてもらえます。

遺贈寄付を公正証書遺言で書く時に気をつけたいこと

相続人ではない団体に財産を渡すことを、遺贈といいます。公正証書遺言は、寄付のことを書く時にもよく使われる方法です。

遺贈寄付ガイド(運営: gooddo株式会社)のよくある質問でも、亡くなった後に遺言書を見つけてもらえるか心配な人には、公正証書遺言がすすめられています。原本が公証役場に保管されるからです。

よくあるつまずき

遺言書を作った後で、寄付先の団体がその財産を受け入れていないと分かることがあります。不動産や株式、「財産の何割」といった渡し方は団体によって扱いが違うので、先に問い合わせておきましょう。

書く前に確かめたい4つのこと

公正証書遺言に寄付のことを入れる時は、次の点を整理しておくと打ち合わせがスムーズです。

寄付を書く前のチェック
  • 団体の正式な名称と所在地を確かめた
  • 渡したい財産を団体が受け入れているか聞いた
  • 財産を特定して渡すか、割合で渡すかを決めた
  • 遺言の内容を実現してくれる遺言執行者を考えた
  • 家族に残す分と、遺留分のことを確かめた

財産の割合で渡す包括遺贈は、受け取る側が借金なども引き継ぐことがあります。そのため受け入れていない団体もあると、遺贈寄付ガイドのよくある質問で説明されています。

遺言執行者は、遺言の内容を実現する手続きをする人です。役割や選び方は遺言執行者とは?役割と選び方で、家族の取り分については遺留分とは?で紹介しています。

公証人に出すメモには何を書く?

寄付のことを入れる時は、最初のメモに次のような点を書いておくと、案が早くまとまります。箇条書きのメモで大丈夫ですよ。

  • 寄付したい団体の正式な名称と所在地
  • 団体に渡したい財産(例えば、どの銀行のどの口座の預金か)
  • 財産を特定して渡すか、割合で渡すか
  • 家族や親族に渡したい財産と、その相手
  • 遺言執行者を頼みたい人と、その人の承諾の有無
  • 寄付に込めた思いなど、遺言に添えたい言葉

最後の「添えたい言葉」は、財産の分け方とは別に、家族への気持ちや寄付の理由を伝えるためのものです。法的な効力はありませんが、残された家族が遺言を受け止めやすくなります。

「もしもの時」の書き方も相談できる

日本公証人連合会は、「予備的な遺言」という書き方を紹介しています。渡す予定の相手が先に亡くなった時などに備えて、代わりに誰に渡すかを決めておく書き方です。

1通の遺言公正証書に予備的な遺言も一緒に書く場合、予備的な部分は手数料の計算に入らないとされています。寄付先の団体の状況が変わった時のことも気になるなら、公証人に相談してみてください。

作った後に考えが変わったら

遺言は、いつでも何回でも撤回や変更ができます。ただし、新しい遺言の方式で作り直す必要があります。

公正証書で作った遺言を、自筆証書遺言で撤回することも方式上はできます。とはいえ書き方を誤ると混乱のもとになるので、変える時も公証人や専門家に相談するのが安心です。

文例や書き方の注意点は遺言書で寄付する書き方|文例と気をつけたいことでまとめています。

寄付先を探す具体例として、遺贈寄付ガイド(gooddo)の場合

公正証書遺言の打ち合わせを始める前に、寄付先の候補を決めておくと話が早く進みます。寄付先を探す方法のひとつとして、gooddo(グッドゥ)が運営する遺贈寄付ガイドを例に紹介します。

項目遺贈寄付ガイドの公式サイトの記載
掲載団体2026年10月時点で142件
探し方活動テーマ・活動エリア・寄付する財産の種類・運営母体・対応可能項目
財産の種類で探す全財産、現預金、不動産、金融資産(有価証券など)、一般動産
対応可能項目の例包括遺贈の相談、対面相談、寄付金の使途指定、相続財産からの寄付における相続税の控除など
相談遺贈寄付の専門家と協力した無料相談会を実施

団体ページには、受け入れる財産の種類や対応可能項目、法人格や財務データへのリンクが載っています。公証人に伝える「団体の正式な名称」も、ここで確かめるきっかけになります。

遺贈寄付ガイドのよくある質問では、団体に相談したからといって寄付しなければならないわけではなく、決めるのは相談者自身だと説明しています。近くに相談できる人がいない時は、公式の無料相談お申し込みフォームから申し込めます。使い方は遺贈寄付ガイドの使い方で紹介しています。

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公正証書遺言の内容や税金の扱いは、財産や家族の状況で変わります。個別の判断は、税理士・弁護士・司法書士・税務署・公証役場で確認してください。

よくある質問

公正証書遺言は、公証役場に直接相談してもいいですか?

大丈夫です。日本公証人連合会によると、士業や銀行を通さず、本人や家族が直接、公証役場に電話やメールで相談しても差し支えないとされています。相談は無料です。

公正証書遺言の証人を家族に頼めますか?

推定相続人や遺贈を受ける人、その配偶者や直系血族などは証人になれません。適当な証人がいない時は、公証役場で紹介してもらうこともできます。

公正証書遺言の手数料はいくらくらいですか?

渡す財産の価額をもとに、相続人や受遺者ごとに計算して合計します。目的の価額の合計が1億円までなら遺言加算1万3,000円が加わります。正確な金額は公証役場で確認してみてください。

公正証書遺言は家庭裁判所の検認が要りますか?

要りません。公正証書遺言は検認の手続きが不要なので、亡くなった後に遺言の内容を早く実現しやすくなります(日本公証人連合会・裁判所)。

公正証書遺言を作った後で、寄付先を変えられますか?

変えられます。遺言はいつでも撤回や変更ができますが、新しい遺言の方式で作り直す必要があります。公証人や専門家に相談しながら進めると安心です。

まとめ

この記事の要点
  • 公正証書遺言は、証人2人の立ち会いのもとで公証人が作り、原本を公証役場で保管する遺言書
  • 家庭裁判所の検認が要らず、方式の不備で無効になる心配が小さい
  • 作り方は、相談、メモと書類の提出、案の確認、当日の手続きの流れ
  • 手数料は渡す相手ごとに財産の価額で計算し、1億円までなら遺言加算1万3,000円が加わる
  • 寄付を書く時は、団体の正式な名称と受け入れられる財産を先に確かめる

出典として、日本公証人連合会 遺言、日本公証人連合会 手数料、e-Gov法令検索 民法、裁判所 遺言書の検認を参考にしています。

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寄付サイトガイド 編集部

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