自筆証書遺言書保管制度とは?法務局に預ける手順と手数料

自筆証書遺言の保管制度で、法務局に遺言書を預ける手順を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトはgooddo(gooddo株式会社)・遺贈寄付ガイドの公式サイトの公開情報と、国税庁・法務省・裁判所・内閣府など公的機関の情報をもとに編集部が独自に執筆しています。制度や掲載内容は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトで確認してください。税金や遺言の個別の判断は、税理士・弁護士・司法書士・税務署・公証役場などにご相談ください。記事内には広告を含みます。

自分で書いた遺言書を、どこにしまっておけばいいのか迷いますよね。『引き出しに入れたままで、本当に見つけてもらえるのかな』と心配になる方も多いはずです。

結論から言うと、自筆証書遺言の保管制度を使えば、手書きの遺言書を法務局に預けられます。紛失や書き換えの心配が減り、亡くなった後の家庭裁判所の検認も要らなくなります。

この記事では、自筆証書遺言の保管制度の仕組み、預ける前のルール、法務局での手順と手数料、寄付のことを書く時の注意点が分かります。

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目次

自筆証書遺言書保管制度とは?

自筆証書遺言書保管制度は、自分で手書きした遺言書を、法務局(遺言書保管所)に預けられる制度です。日本公証人連合会の説明では、令和2年7月から運用が始まりました。

自筆証書遺言は、思い立った時に自分で書けるのがよいところです。その一方で、自宅で保管すると、なくしてしまったり、見つけた人に書き換えられたりする心配がありました。

先に結論

法務局に預けると、遺言書は原本と画像データの両方で長く保管されます。亡くなった後の検認が要らず、決めておいた人に「遺言書がある」と知らせる通知も使えます。

法務局に預けるとどうなる?

法務省の案内によると、この制度には主に次のようなよいところがあります。

保管制度でできること
  • 預ける時に、民法の形式に合っているか外形のチェックを受けられる
  • 原本は遺言者の死亡後50年間、画像データは150年間保管される
  • 紛失や、相続人などによる破棄・隠匿・改ざんを防げる
  • 亡くなった後、家庭裁判所での検認が要らない
  • 全国どこの法務局でも、画像での閲覧や証明書の交付を受けられる
  • 亡くなった後に、遺言書があることを知らせる通知が届く

法務局は内容の相談には乗らない

ここが大事なところです。法務局では、遺言の内容についての相談には応じていません。また、保管された遺言書が有効であることを保証するものでもないと、法務省は案内しています。

チェックされるのは、あくまで形式の外側です。誰にどの財産を渡すかといった中身は、弁護士などの専門家に先に相談しておきましょう。

預ける前に:遺言書の書き方と様式のルール

保管制度で預けられるのは、民法968条の自筆証書遺言だけです。まずは、民法の要件を満たしているかを確かめます。

民法で決められた自筆証書遺言の要件
  • 全文・作成日付・氏名を、遺言者が自分で手書きして押印する
  • 日付は「何月吉日」ではなく、特定できる日付を書く
  • 財産目録はパソコンや通帳のコピーでもよいが、全ページに署名と押印をする
  • 書き間違いの訂正や追加は、場所を示して変更した旨を書き、署名と押印をする

『財産目録まで全部手書きするのは大変そう』と思いますよね。平成31年1月からは、財産目録だけはパソコンで作ったり、登記事項証明書や通帳のコピーを付けたりできるようになっています。

保管制度ならではの様式ルール

民法の要件に加えて、法務局に預けるための様式のルールがあります。法務省の案内(2026年10月時点)をまとめると次のとおりです。

項目法務省が示しているルール
用紙A4サイズ。文字が読みにくくなる模様や彩色がないもの(一般的な罫線は可)
余白上5ミリ・下10ミリ・左20ミリ・右5ミリ以上
記載面片面のみ。裏面には何も書かない
ページ番号「1/2」のように総ページ数が分かる形で、余白の内側に書く
綴じ方ホチキスなどで綴じない。封筒も不要
筆記具ボールペンや万年筆など、消えにくいもの
氏名ペンネームではなく、住民票や戸籍のとおり

余白に1文字でもはみ出していると、書き直さないと預かってもらえません。法務省は、そのまま印刷して使える用紙の例も公開しています。

法務局の保管制度で求められる遺言書の様式のルールを、用紙・余白・片面・ページ番号・綴じ方でまとめた図解

「相続させる」と「遺贈する」の使い分け

法務省の様式例では、相続人になる予定の人には「相続させる」または「遺贈する」と書き、それ以外の人には「遺贈する」と書くよう案内しています。寄付先の団体は相続人ではないので、「遺贈する」と書くことになります。

寄付を含む遺言書の文例は遺言書で寄付する書き方|文例と気をつけたいことで紹介しています。

書き終えたら見直したいこと

法務省は、手続きの前に注意事項をもう一度確かめるよう呼びかけています。書き終えた後、次の点を見直してみてください。

  • 日付が「吉日」になっていないか
  • 署名と押印が抜けていないか(スタンプ印は避ける)
  • 余白に文字やページ番号がはみ出していないか
  • 裏面に何も書いていないか
  • 財産目録の全ページに署名と押印があるか
  • 寄付先の団体名が正式な名称になっているか

訂正や追加が多くなった時は、書き直すほうがすっきりします。法務省も、変更や追加がある場合は書き直しをすすめています。

法務局に預ける手順

書き終えたら、いよいよ法務局へ預けます。法務省の案内では、次の流れで進みます。

遺言書の保管の申請の流れ
  1. 自筆証書遺言を書く
  2. 預ける法務局(遺言書保管所)を決める
  3. 保管申請書を書く
  4. 法務局に予約を入れる
  5. 予約した日に本人が法務局へ行き、申請する
  6. 保管証を受け取る
遺言書を書いてから、法務局を決め、申請書の作成、予約、来庁、保管証の受け取りまでの流れを示した図解

どこの法務局に預ける?

預け先は、次のどれかを管轄する遺言書保管所から選びます。

  • 遺言者の住所地
  • 遺言者の本籍地
  • 遺言者が持っている不動産の所在地

ただし、2通目以降を追加で預ける時は、最初に預けた遺言書保管所にしか申請できません。

当日の持ち物

予約した日には、遺言者本人が法務局へ行きます。代理人による申請や郵送での申請はできないので、注意しておきましょう。

保管の申請の日に持っていくもの
  • 遺言書(ホチキス止めせず、バラバラのまま。封筒は不要)
  • 事前に書いておいた保管申請書
  • 本籍と筆頭者が載り、マイナンバーや住民票コードの載っていない住民票の写しなど
  • 顔写真付きの身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 手数料3,900円分の収入印紙

手続きは予約制で、持ち物が足りないと予約していても手続きできません。申請書を書かずに行くと、時間内に終わらないこともあると案内されています。

一部の法務局では、希望すればメールで申請書や遺言書の形式面を事前にチェックしてもらえる取り組みを試行しています(法務省の案内では39都道府県・68の遺言書保管所)。近くの法務局が対象か、法務省のサイトで確かめてみてください。

最後に受け取る「保管証」

手続きが終わると、「保管証」を受け取ります。遺言者の氏名や生年月日、遺言書保管所の名前、保管番号が書かれた書類です。

保管証は再発行ができません。家族などに伝える時は、保管証の写しを渡しておくと確実だと法務省は案内しています。

保管制度の手数料はいくら?

『法務局に預けると、どれくらいお金がかかるの?』と気になりますよね。手数料は収入印紙で納めます。

手続き手数料手続きできる人
遺言書の保管の申請1件(遺言書1通)3,900円遺言者
遺言書の閲覧(モニター)1回1,400円遺言者・関係相続人等
遺言書の閲覧(原本)1回1,700円遺言者・関係相続人等
遺言書情報証明書の交付1通1,400円関係相続人等
遺言書保管事実証明書の交付1通800円関係相続人等
申請書等・撤回書等の閲覧1件1,700円遺言者・関係相続人等
保管の申請の撤回、住所などの変更の届出不要遺言者

法務省の記載(2026年10月時点)です。手数料は改定されることがあるので、最新の金額は法務省のサイトで確認してください。

公正証書遺言と比べると

公正証書遺言は、渡す財産の価額に応じた公証人手数料がかかります。保管制度は申請1件3,900円なので、費用をおさえたい方には使いやすい方法です。

保管制度では、本人が法務局へ出向く必要があり、法務局の職員が出張することはありません。日本公証人連合会も、病気などで法務局に行けない時はこの制度を使えないと説明しています。

ただ、どちらが向いているかは費用だけでは決まりません。違いは次の章と公正証書遺言とは?作り方・必要書類と費用の目安で比べてみてください。

預けた後にできること

預けた後も、遺言者本人はいくつかの手続きができます。生きている間に遺言書を見たり、手続きをしたりできるのは本人だけです。

やりたいこと手続きポイント
預けた遺言書を見たい閲覧の請求モニター閲覧は全国どこでも、原本閲覧は原本のある保管所のみ
内容を変えたい・やめたい保管の申請の撤回原本のある保管所で手続き。手数料は不要
住所や氏名が変わった変更の届出全国どこでも、郵送でもできる。手数料は不要

内容を書き直したい時は

『寄付先を変えたくなったら、どうすればいいの?』という方もいますよね。法務省は、預けた遺言書の内容を変えたい時は、いったん撤回して返してもらい、書き直して預け直すことをすすめています。

なお、保管の申請の撤回は、遺言の効力とは関係がありません。返してもらうだけで遺言が無効になるわけではない点は、覚えておきましょう。

受遺者や遺言執行者の住所が変わった時も

変更の届出が必要なのは、遺言者本人の情報だけではありません。遺言書に書いた受遺者や遺言執行者、通知の相手の氏名や住所が変わった時も、届け出るよう案内されています。

届け出ないままだと、通知が届かなかったり、手続きが進みにくくなったりすることがあります。寄付先の団体が移転した時なども、気づいたら届け出ておきましょう。

亡くなった後に届く通知と、家族がする手続き

保管制度の大きな特徴が、亡くなった後の「通知」です。法務省の案内では、2種類の通知があります。

通知の種類届くタイミング届く相手
関係遺言書保管通知相続人などの誰かが閲覧や証明書の交付を受けた時その他の相続人・受遺者・遺言執行者など全員
指定者通知法務局が戸籍の情報で遺言者の死亡を確かめた時遺言者があらかじめ指定した人(3名まで)

指定者通知は、遺言者が希望した時だけ行われます。2023年10月2日からは、通知の相手が受遺者や遺言執行者、相続人になる予定の人に限られなくなり、3名まで指定できるようになりました(法務省)。

指定者通知を受けた人が気をつけたいこと

通知を受け取っても、遺言書の閲覧や証明書の交付を受けられるのは、相続人・受遺者・遺言執行者などの関係相続人等だけです。通知の相手を選ぶ時は、その点も考えておきましょう。

受遺者や遺言執行者に伝えておきたいこと

通知を受け取った人が閲覧や証明書の請求をするには、ふつう遺言者の「住所」「本籍」「戸籍の筆頭者の氏名」が必要になります。法務省は、受遺者や遺言執行者などに、これらの情報をできる範囲で伝えておくようお願いしています。

寄付先の団体や遺言執行者には、保管証の写しと一緒に伝えておくと、亡くなった後の手続きがぐっと進めやすくなりますよ。

家族や受遺者が受け取れる証明書

亡くなった後、相続人や受遺者、遺言執行者は、次の手続きができます。郵送での請求がすすめられています。

  • 遺言書保管事実証明書:自分に関係する遺言書が預けられているかを確かめる(1通800円)
  • 遺言書情報証明書:遺言書の画像が印刷された証明書で、原本の代わりに手続きに使う(1通1,400円)
  • 遺言書の閲覧:モニターか原本で内容を見る

裁判所の案内でも、法務局で保管されている自筆証書遺言について交付される遺言書情報証明書は、検認が要らないとされています。自宅で保管していた自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。

遺贈寄付で保管制度を使う時のポイント

団体への寄付を自筆証書遺言で書く場合、保管制度と組み合わせると「見つけてもらえるか」の心配を減らせます。遺贈寄付ガイド(運営: gooddo株式会社)のよくある質問でも、自筆証書遺言なら法務局に保管して通知制度を使うとよいと説明しています。

寄付を書いた遺言書を預ける前のチェック
  • 寄付先の団体の正式な名称と所在地を確かめた
  • 団体がその財産を受け入れているか問い合わせた
  • 保管申請書の受遺者等の欄に、団体の名称と所在地を書いた
  • 遺言執行者を決め、申請書にも記入した
  • 指定者通知の相手に、遺言執行者など伝えておきたい人を選んだ

申請書に書いた受遺者や遺言執行者には、通知が届く仕組みがあります。寄付先の団体にも、亡くなった後に連絡が行きやすくなるんです。

遺言執行者は、遺言の内容を実現する手続きをする人です。寄付先に財産を届ける役目なので、遺言執行者とは?もあわせて読んでみてください。

公正証書遺言とどちらを選ぶ?

保管制度と公正証書遺言は、どちらも紛失や改ざんを防げて、検認も要りません。違いは、日本公証人連合会と法務省の案内をもとにすると次のとおりです。

保管制度(自筆証書遺言)が向く人
  • 費用をおさえたい
  • 自分で全文を手書きできる
  • 内容がシンプルで、専門家に下書きを見てもらえる
  • 法務局に自分で行ける
公正証書遺言が向く人
  • 手書きが難しい、または体力に不安がある
  • 財産や寄付先が多く、内容が複雑
  • 公証人に内容まで確かめてもらいたい
  • 出張して作ってもらう必要がある

保管制度では、遺言書の写しは手元に残りません。公正証書遺言は、作った時に正本と謄本を受け取るのが通常です。こうした違いも含めて、自分に合うほうを選んでみてください。

寄付先を探す具体例として、遺贈寄付ガイド(gooddo)の場合

遺言書に寄付のことを書くなら、預ける前に寄付先を決めて、問い合わせまで済ませておきたいところです。寄付先を探す方法のひとつとして、gooddo(グッドゥ)が運営する遺贈寄付ガイドを例に紹介します。

項目遺贈寄付ガイドの公式サイトの記載
掲載団体2026年10月時点で142件
探し方活動テーマ・活動エリア・寄付する財産の種類・運営母体・対応可能項目
活動テーマの例子ども・教育、国際協力、災害救援・復興、環境、動物愛護など
団体ページの内容受け入れる財産の種類、遺贈寄付の使途、対応可能項目、法人格や財務データへのリンク
相談遺贈寄付の専門家と協力した無料相談会を実施

団体ページで正式な名称や受け入れる財産を確かめておけば、保管申請書の受遺者等の欄も書きやすくなります。気になる団体があれば、遺言書を書く前に問い合わせてみてください。

遺贈寄付ガイドのよくある質問では、団体に相談したからといって寄付しなければならないわけではないと説明しています。近くに相談できる人がいない時は、公式の無料相談お申し込みフォームから申し込めます。使い方は遺贈寄付ガイドの使い方で紹介しています。

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遺言書の内容や税金の扱いは、財産や家族の状況で変わります。個別の判断は、税理士・弁護士・司法書士・税務署・公証役場で確認してください。

よくある質問

法務局に預ければ、遺言書の内容も確かめてもらえますか?

確かめてもらえるのは、民法の形式に合っているかの外形のチェックだけです。法務局は内容の相談に応じておらず、有効性を保証するものでもありません。内容は弁護士などの専門家に相談しましょう。

保管制度の手数料はいくらですか?

保管の申請は遺言書1通につき3,900円で、収入印紙で納めます。撤回や住所などの変更の届出は手数料がかかりません(法務省・2026年10月時点)。

預けた遺言書は、亡くなった後に家庭裁判所の検認が要りますか?

要りません。法務局で保管されている自筆証書遺言について交付される遺言書情報証明書は、検認が不要です(裁判所)。

遺言書を2通以上預けることはできますか?

追加で預けることはできますが、2通目以降は最初に預けた遺言書保管所にしか申請できません。手数料は申請1件(遺言書1通)につき3,900円です(法務省)。

寄付先の団体にも、亡くなったことが伝わりますか?

申請書に受遺者として書いた団体には、相続人などが閲覧や証明書の交付を受けた時に通知が届く仕組みがあります。指定者通知で、遺言執行者など伝えておきたい人を3名まで指定しておくこともできます。

まとめ

この記事の要点
  • 自筆証書遺言の保管制度は、手書きの遺言書を法務局に預けられる制度
  • 原本は死亡後50年間、画像データは150年間保管され、亡くなった後の検認が要らない
  • A4・余白・片面・ページ番号など、保管制度ならではの様式のルールがある
  • 申請は予約制で本人が法務局へ行き、手数料は1通3,900円
  • 寄付を書く時は、団体の正式な名称を確かめ、受遺者や遺言執行者を申請書にも書いておく

出典として、法務省 自筆証書遺言書保管制度、法務省 遺言者の手続、法務省 遺言書の様式等についての注意事項、法務省 手数料、法務省 通知、裁判所 遺言書の検認を参考にしています。

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寄付サイトガイド 編集部

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